手紙~拝啓 十五の君へ~
こんの優眼科クリニック
旭川市曙1条6丁目
院長 今野 優
(グラフ旭川さんの市民の健康ガイドに記事が掲載されました)
「手紙~拝啓 十五の君へ~」のように、15歳の皆さんにコンタクトレンズ(CL)について伝えたいことがあるのです。
15歳の皆さんの中には、CLを使っている方もいらっしゃるかと思いますが、CLで目にトラブルを起こしてしまう方が多く見受けられます。CLでトラブルを起こさないように、CLとの正しい付き合い方についてお伝えさせてください。
コンタクトレンズの正しい作り方
まず初めてCLを使いたいという方に、どうやってCLを作るのが正しいのかからお話します。初めてCLを作りたい方は、眼科を受診してください。CLのご希望を聞きますが、その方の目の状態を総合して、一番適していると思うCLをお勧めするために、詳しく聞いていきます。「どのような時にCLを使う予定ですか?」例えば、常に使いたい、授業中に使いたい、クラブ活動の時に使いたいなどです。「どれくらいの頻度で使いたいですか?」例えば、毎日、週に5日くらい、週末のみなどです。「CLに対する希望はありますか?」例えば、1日使い捨てソフトCL希望、2週間定期交換CL希望、ハードCL希望、分からないので相談したいなどです。「今までに言われたことがある目の病気はありますか?」例えば、ドライアイ、アレルギー性結膜炎、アトピーなどです。
CLの希望を確認した後に、目の検査を行います。希望がソフトCLでも、近視の度数が強い方、乱視の度数が強い方には、ハードCLをお勧めする場合もありますし、アレルギーをお持ちの方には、1日使い捨てソフトCLをお勧めする場合もあります。
そして使っているメガネの度数が合っているかの確認をします。
初めての方には、目薬を入れて調節力を取った目の度数を調べて、さらに眼底検査をして目に病気が隠されていないかを調べます。
メガネの度数が合っていない場合は、次回にメガネ合わせも行っています。
そして目に問題がない場合は、CL合わせは二回目の受診の時になります。
ここまで初めてのCLについて、問診から検査まで説明しましたが「そんなに面倒くさいの?チャッチャッと合わせてくれればいいのに」と思われた方も、いらっしゃるかもしれません。CLが初めての方にどうして詳しく検査するのかの理由について、説明したいと思います。
詳しい検査が必要な理由
私のCLに対する考え方は「あくまでも目にとっては異物であり、きちんと使用しなければ、目に害を及ぼす危険性のあるもの」ですが、「きちんと使用すれば安全であり、視力の悪い人にとって非常に便利でありがたいもの」というものです。CLを使用する方に強調したいことは「CLはメガネと併用しましょう」ということです。CLは一日中付けたままではなく、起きている間にメガネをかけて、目に酸素を充分に送る時間がどうしても必要です。また、目にトラブルが起きた際も必ずCLを外して、メガネを掛けていなくてはいけません。他の眼科さんでメガネが無いのにCLを作成し、長時間CLを付けて目にトラブルを起こしてから、当クリニックを受診される方も時々見受けられます。そんなことにならないように、メガネも適した状態で使っていただきたいと思っていますので、メガネがキチンと合っていない場合は、メガネを調整したあとに、CLを合わせるようにしています。CLは処方して終わりではなく、使うご本人がしっかりとしたレンズケアをしながら検診を受けてもらい、問題が起きていないかを確認しながら使って行く医療機器です。せっかく便利なCLで、逆に目に病気を起こしてしまっては元も子もありません。調子が良いからと言って定期検査を受けないと、目にトラブルが起きることがあります。CLの使用はあくまでも自己責任ですが、未然に防ぐことが出来るようにすることが私ども眼科医の使命だと考えます。ですので当クリニックでは「処方して終わり」という処方箋のみの発行も、ご遠慮いただいています。眼科医として目を守るため、どうしても必要なことですのでご理解いただけますようお願いします。
コンタクトレンズユーザーへ
CLをすでに使っている方は、CLとの正しい付き合い方を再確認してください。CLは、黒目(角膜と言います)に直接のせるものですから、黒目に必要な栄養である酸素が、どうしても少なくなってしまいます。黒目が一生キレイに透明でいられるためには、黒目に十分な量の酸素が届いていることが必要です。黒目に十分な量の酸素がいかない原因として、CLの誤った使用が考えられています。
CLの誤った使用とは「CLを長い時間つけている」「CLをきちんと洗っていない」「CLをつけたまま眠ってしまう」「CLの使用期限を超えて使っている」「CLのみでメガネを使っていない」「眼科でCL検診を受けていない」「ネットでCLを購入して、そもそもレンズが目にきちんと合っていない」などです。
このような誤った使い方をしていますと、黒目に十分な酸素がいかず、栄養失調の状態になってしまいますから、普段はやられないはずの細菌に感染したり、ヒドい場合にはアメーバに感染したりと、栄養失調状態では抵抗力が落ちますから、感染症にかかるリスクが高くなると言わざるを得ません。黒目が感染症にかかりますと、それが治ったとしても黒目に白濁が残ることがあります。黒目の白濁が瞳の真ん中に残ってしまいますと、視力が下がります。その下がった視力はメガネをかけても、メガネの度数を上げても、CLの度数を上げても、上げられないことになります。黒目はレンズの働きをしていますので、透明性を維持することが大切なのです。黒目の健康を守るため、CLが正しく使ってください。
さいごに
大切な目を便利なCLで傷つけないように、眼科で検診を受けてくださいね。
拝啓 この手紙読んでいるあなたの目が 傷つかないことを願います。
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